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2009年5月20日 (水)

PLC ってどうなったの?

コメントで PLC について話題になったので、そういえばどうなったのかしら、という事で振り返ってみます。といっても、おさらいをするわけでもなく、ふと頭をよぎったことを書く程度です。また、PLC 議論や、検証の正確性などをこの場で議論する目的でもありませんので、肩の力を抜きます(@@

まず、現状は認可されて各大手メーカーから次々と PLC モデムが発売され、店頭に並んで久しいです。ヨドバシカメラでも 「無線 LAN の電波が届かないコンクリート住宅やフロアをまたがるネットワーク構築に」 みたいな形で特設コーナーが設けられています。つまり、引き続き売られているわけですが、これは一昨年の JARL 総会で盛り上がったとおり 「JARL さんが賛成した」 ことにより、事実上反対なしという形で販売が開始されたようなものだと思います。

まぁ、確かに会長さんの言われる答弁も一理あり、単純に 「反対!」 というだけで全面対決の姿勢を打ち出しているだけだと、もし勝ち目のない戦いになり、負けてしまった場合には、意見を聞かれない 「敗戦国」 になってしまいます。そうすると 「少しは譲歩してよ」 と戦勝国の PLC 団体に交渉することができません。全面対決ですから 「法律で認められた以上、好き放題やる権利がある」 と言われてオシマイでしょう。

その為、戦況不利と見たら、引き続き反対の雰囲気を維持するとしても、同時に敗戦国にならない段階で和解し、発言力を少しは維持した状態で軟着陸をする方策を見つけるのも良く執られる手段の一つですよね。全面対決がイヤなのは、お互い様で、相手にとっても全力で正面衝突をするのは本当は避けたいのが人間の心理。その場合には、相手にとっても 「先に譲歩してくれた」 アマチュア無線側の意見もなるべく聞こうという、事を荒立てないようにしようという心理が働くことでしょう。

これによって、例えば自主規制が行われ、アマチュア無線に干渉が起きないように最大限の努力を払うようにしてくれたり、各種検査を厳密にやるようにしてくれる "かも" しれません。また、ユーザーからクレームがあった際にも、アマチュア無線を停めることはできず、妨害になっている場合には速やかに撤去するようにマニュアルに書いてくれるかもしれません。

しかし、全面対決では、万一 PLC 側に優先権を持たせる意味合いがある決定が出た場合には、ノッチなし、妨害が出た場合はアマチュア側が譲歩すること等の草一本生えない焼け野原になってしまう可能性すらあります。

もちろん、アマチュア側が勝利し、PLC モデムそのものの販売が認められなくなる可能性もあるわけですが、少なくとも JARL さんでは 「状況不利」 とみて、軟着陸のポイントを探したのかなぁ、と思っています。個人的には、時期尚早だったとは思いますが、それでも 「あり得ない選択肢」 ではなかったと思います。

いずれにしても、既に事態は進行して数年。今更巻き戻すことはできません。そんな中でも、JARL が状況不利と見て融和策をとってしまったあとも熱心に PLC の排斥について活動されている方が多いのは、嬉しい限りです。

非常通信などの目的外通信、すなわち 「非常通信を目的としてアマチュア局を開設することはできない」 というのは昔から当たり前だったのですが、阪神淡路震災や新潟地震で 「脚光」 を浴びてからは、バンド防衛を考えて、災害時のアマチュア無線の活用のためのクラブ局、みたいな物が堂々と語られるようになりました。

また、パラグライダーや狩猟などの 「道具」 としてアマチュア無線を使うことは、同様に目的外通信ということで違法であり、また、これらを目的としてアマチュア局を開設することはできないはずなのですが、いつの間にか 「趣味としてのパラグライダーや狩猟であれば問題がない」 という風潮が JARL 等を初めとして広まってしまい、びっくりしてします。

よく、アマチュア無線家も、移動運用に行く途中なんかに、車同士の連絡に使っているんだから、パラグライダーなどでも問題がない、と混同される方がいますが、インフラとして使用することを目的として開設するのか、それとも、結果的にアマチュア業務に付随したインフラとして使用されること 「も」 あるのかは大きな違いです。おそらく本人達もわかっていると思うのですが、いわゆる詭弁を弄して正当化しようとしているのでしょう(^^; それに JARL が迎合してしまったのは 「バンド防衛」 であろうと何だろうと、残念です。私は、アマチュア無線の CB 化をとても恐れています。

こういった、本来通してはいけない物を通してしまい、JARL だけではなく一般のアマチュア無線家ですら、そういった意識になってしまっているのは残念です。PLC も、一昨年の総会以来、もう仕方がないと諦めてしまい、迎合して 「良い子」 になってしまった無線家も多い気がします。そんな中で、頑張って初志貫徹で PLC 反対活動されている方々は、本当にすばらしいと思います。「まだやってるの?」 みたいな考えを持ってしまう方は、そもそも自分自身がブームで PLC の話題に加わっていたミーハーな立場だったことを自白しているようなものです。これはちょっと恥ずかしいですw

さて、PLC について気になっているのは、個人的には

  1. ノッチは自主規制であり、ノッチを入れる直接的な法的義務がないので、もし PLC が売れたら、ほとぼりが冷めた頃、他者との差別化のため速度を稼ぐためにこっそりノッチを入れない PLC モデムを売る可能性がある
  2. 「既設の無線局に対する妨害」 という事で取り締まることは理論的にはできるけど、実際にそれを行うのは困難。特定することも難しい。その家に乗り込んで問題の PLC の使用を中止させるだけの証拠は集められるのかという疑問がある
  3. 例え特定できて証拠も集まり司法機関が乗り込んでいっても「遊びのアマチュア無線に合わせる必要はない」 とごねられる可能性もある。
  4. アマチュア無線側が送信した電波で PLC モデムが通信ができなくなってもアマチュア側に非がない、という状態になっていない。PLC が使えないからアマチュア無線をやめてほしいと言われる可能性がある。
  5. すでに沢山販売されてしまっていて 「インターネットをするのには PLC を使うのが便利」 という状態になってしまうと、電話などと同じ、重要なインフラとみなされる「既成事実」ができてしまいます。そうなると、みんなが家で使っていてアマチュア無線より普及している PLC を優先する方が社会的に利益があるとみなされて、アマチュア無線側が譲るように改正されてしまう可能性がある。

といったところが懸念点です。

そのため、PLC の販売を認めるなら

  1. 認可された PLC モデム以外の "販売" を違法とすること
  2. アマチュア無線などに対して妨害が出ないように対策を行うことを法的に明文化して義務づけること(事実上のノッチ強制)
  3. アマチュア無線が発する電波により PLC の通信に障害が出ても、アマチュア側に対策をしたり、運用を縮小する義務を負わないことを明確にすること。PLC はあくまで 「あいていれば使える」 程度の物である事を購入者や各種団体に認識させること。
  4. 販売されている製品に 「アマチュア無線を含む既存の無線局の通信に妨害が出たと申告された場合には、直ちに使用を中止」 する事と 「使用を続けると電波法違反で犯罪行為となる」 事を、感電などの安全対策警告以上に目立つように添付すること
  5. PLC は隙間技術であり、将来にわたっても既存の無線局の通信を優先することを意識付けする(例:ポスターやパンフレットの配布・同梱など)

等が必要だと思います。

ただ、4. あたりは、先行している無線 LAN の現状を見ると、法律か自主規制かわかりませんが、無線局に妨害が出た場合は使用を中止すること、という 「シール」 が製品に添付されていましたが、形だけで、誰も製品に貼る人はいませんでしたし、内容も読んでいないと思います。

シールはデザインを損ないますし、場所も取ります。そのためシールを最初から貼り付けるのではなく、ユーザーに貼らせる形にすることで 「マニュアルには貼るように書いたのに、貼らないユーザーが悪い」 と責任転嫁をするためでしょう。中には、小型の無線 LAN 端末で製品本体より大きいシールが同梱されていて笑えない場面もありました。

また、最近では、妨害を与えた場合運用を中止するか妨害が出ないように対策を講じないといけない対象として、医療機器や産業無線などに限られ、アマチュア無線に対する表記が消えた物が多いです。いつの間にか、アマチュア無線には妨害を与えていい、という事になってしまったのでしょうか…。だんだん認識が、アマチュア無線は二の次、という感じになってきていて、これは、とても危険な兆候です。これはアマチュア局を代表する団体である JARL さんの活動が足りないと思います。

同様のことが PLC モデムに対しても行われてしまったら、上記の事を行っても無意味になってしまうため、製品に警告を剥離不能な状態で貼り付ける、または直接印刷する事を義務づけないといけませんね。また 「さあ、つないでみよう!」 というマニュアルの冒頭に、大きな文字で 「アマチュア無線などの無線局に妨害が出た場合には PLC モデム使用できません」 という内容の警告を入れておくことを義務づける必要もあるかもしれません。

「購入して使用して、妨害が出たと言われて PLC モデムがその家で使用できなかったとしても、メーカーや販売店は返金を行いません、貴方のリスクで買う商品です…」 といったことを販売店の説明責任としてから買うようにするのも効果的だと思います。そうなると 「使ってみてもし妨害を出したらお金が無駄になるかも…」 と思って買う人も減るかも知れませんしね。

いずれにしても、現在販売が継続されている PLC モデムです。各家庭に導入され、将来利用者が多くなってしまったら 「これだけ多くの人が利用している物なので、アマチュア無線より優先度が高い」 として、かなり不利な扱いを受ける可能性があるため、そうなってからでは、アマチュアに妨害を与えないような厳しい規制を課すことは難しくなると思います。早い段階で規制を入れ、将来も安心して無線ができるような体制を作るようにしたいものです。

活動をなさっている皆さんをこれからも応援しています。でも、JARL さんのように、いつの間にか反対ではなくて譲歩ばかりしている融和策の模索ばかりにならないことを祈るばかりです。ウィルスと同じで、広まってしまってからでは遅いのですから…。

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