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2009年4月17日 (金)

電波法令集の備え付け省略?

Dsc00788_rアマチュア無線を含め、無線局だけでなく薬局や免許を受けて特定の業務を行う場所には、多くの場合、その業務に従事するのに必要となる法令集(電波法令集 日本薬局方など)の備え付けが義務づけされています。特に珍しい事ではなく、一般的な事です。

アマチュア無線家の方も、必ず常置場所に電波法令集、またはその抄録がある事でしょう。私のお家にも、SS の通り、電波法令集があります。加除式で、最新版が送られてくる度に入れ替えを行わないといけないので、なかなか手間です。これを少しでも怠ると、何が最新で何が古く、どれを入れ替えていないのかわからなくなり、大変です。

そうなったら、別の最新版の電波法令集を参考に気合いでなおすか、最新の電波法令集をセットで買い直すしかありません(^^;  そのため、面倒でも送られてきたら、即日更新しています。これは、最新にしておく法的義務もさることながら、実際に法律は最新のもので運用されているのですから、最新の法令集を手元に置いておきたいものです。

今回の改正案では、アマチュア局に義務づけられている電波法令集の備え付け義務をなくす、というのが含まれているようです。規制緩和の流れでしょうか、時計や業務日誌の備え付け義務に続いて、とうとう電波法令集の備え付け義務まで免除になるようです。

規制緩和で手軽になり、出費も手間も減るのは、一見すると便利です。楽です。だから、歓迎したい気持ちもわからないでもありません。だれだって、楽なのが好きですから。私だって、車の車検が無くなったり制限速度が無くなったり、自動車税が無くなったら歓迎します。

しかし、こういう物を省略して良いんでしょうか。時計は業務日誌の記載には必要ですし、業務日誌は更新の記録として残しておくべきかもしれません。アマチュア無線は連絡を取るためのお手軽無線ではありませんので、更新の度にレポート交換をしたりログを記載するのを面倒に感じる事自体が、何か違う気がします。便利なのが良ければ、携帯電話でお話をすればいいのです。有料なのがイヤなら、Skype でも使えばいいのです。

電波法令集は、免許された無線局を運用するにあたり、いつでもその運用を適正にするため、疑問を感じたり、確認しないといけない事があった場合は、直ちに確認できるよう、備え付けられているものです。もちろん、従事者資格を得ているのですからそういう物は頭に全部入っている前提だ、という理想論を言う事も出来ますが、現実問題、経年劣化による勘違いもあり得ます。そういう場合には、電波法令集ですぐに確認し、適切な運用ができるようにしておかないといけないわけです。

ガールスカウトでも教える時に、大抵、何でこんな手続きが必要なの? とか、何で自由に使えないの、とか、何でこんな物を用意しないといけないの、的な事を聞かれますが、全て、無線局として適切な運用を行うために必要だからです。先述の通り、手軽に簡単に使えるのが良いのなら、Skype でも使えばいいのです。

運用中 「こういう運用をして良いのかな」 と思った時に、電波法令集できちんと確認できなかったら、どうするのでしょうか。「まぁ、たぶん良いんじゃない」 程度で適当に運用すればいいのでしょうか。自分が思っていた事と違う事を指摘された時、それを確認せず、自分が正しいに決まってると思ってそのまま続ければいいのでしょうか。法律によって免許を受けて運用する物は、その運用が適切である事が求められます。その適切かどうかを直ちに確認できる手段を持っている必要があると思います。

確かに、今は Google 先生が居ますし、ネットで電波法も参照できます。PDF に落としておいて、PC で参照できるようにしておけば、本をめくるよりずっと手軽に検索ができ、素早く目的の情報に行き着け、運用の誤りを正す事もできます。そのため、別に紙媒体にこだわる気はありません。

「ネットで見れるから」 というのは、備え付け義務の免除に対して正当なのでしょうか。残念ながらそうは思いません。なぜなら、ネットで見れるという到達可能性の要素と、備え付けていつでも参照できる必要があるという要素は、相反するものではないからです。

ではどうすればいいかというと、備え付け義務はそのまま残した上で、例えば、次のような場合は電波法令集を備え付けている物と見なす、という風に改訂をすればいいのです。

  1. 無線設備のある場所において、インターネットなどを通じ、遠隔地にある定められた公的機関の提供する最新の法令情報を常時確認できる環境にある場合
  2. コンピュータの内部に定められた機関が作成した最新の電子文書(PDFなど)を直ちに参照できる環境にある場合

他にも方法はあるでしょうが、とりあえずこういった形で、事実上法律をすぐ確認できる状態にあれば、備え付けてある物と見なすようにすればいいのです。「ぐぐればすぐ見つかるから」 と言っている人は、これなら、備え付け義務が残っても文句はないはずです。

もちろん、運用中はコンピュータが容易に使える状態にある事が求められます。電源が入っている事が望ましいですが、悪くても、電源を入れれば直ちに使用できるようになっていれば OK でしょう。設定をあれこれ変更したり配線をしないといけなかったり、今は使えない、明日のお昼にならないとダメ、といった制限があるような環境は含まれません。2. の場合には、ファイルは最新の物に限る、としてもいいですし、それが面倒であれば今の抄録のように有効期限を定め、1 年ごとに無効になるようにすればいいと思います。

何度も書いていますが、アマチュア無線は、CB無線やパーソナル無線、特定小電力無線のようなお手軽簡単無線ではありませんし、実用のためのインフラの無線ではありません。無駄な手続きや手間はよくありませんが、資格を必要とし、免許を受けて高出力で電波資源を利用する無線局である以上、それなりに手間はかかるものです。

自動車のように興味ある/なしに関わらず毎日のインフラとして利用していて「そんな面倒なのはやってられない/非現実的」 なんていういいわけは通用しません。なぜなら、自動車と違いインフラではありませんからなくても困らず、イヤなら使わなくても済むからです。インフラとしては、携帯電話を使うべきでしょう。

どんどん簡素化されて、そのうち CB 無線のように、コールサインの割り当てもなくなってしまったりするのではないでしょうか。従事者免許すら要らなくなるかもしれません。便利なのは良い事でしょうが、それによって失われる物も多い事を忘れてはいけないと思います。少なくともそんな世界になったら、私がマイクを握る日は二度と来なくなると思います。

規制緩和と楽な方に進むばかりではなく、よく考えて改正して欲しいと思います。例え廃止されても、時計、業務日誌と同様、我が家には電波法令集の備え付けも続けられる事でしょう。CQ 出版さん等の電波法令集出版社とは何の関係もありませんが、アマチュアといえど免許を受けたプロです。例え義務から除外されても、いつでも正しい法令を確認できるよう、手元に電波法令集(抄録)を置いておきませんか?

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コメント

こんにちは。

小生は、電波法令抄録の備え付け義務がなくなることが、果たして良いことなのかどうか、正直なところ迷っています。
無線業務日誌や正確な時計の時も、正直なところ、備え付けを義務づける方が良いのかどうか、迷いました。それは今でも同じです。

いずれにせよ、備え付け義務の有無にかかわらず、小生はこれからも、電波法令抄録と無線業務日誌と正確な時計の備え付けは続けます。いずれも、少なくとも小生のスタイルでハムをやって行く上では、必需品ですので…。

ただ、小生以外のスタイルでハムをされている方を、頭ごなしに否定するわけにも参りません。それで、迷っているわけです。

例えば、APRSでの現在地情報送信。免許を受けた無線局で送信している以上、その事実を無線業務日誌に記して行かなければならないわけですが、それはあまりに非現実的ではないかという気が致します。モービル運用も然りで、運転中に、いちいち無線業務日誌に記入をしたり、電波法令抄録を引いたりすることは出来ません。また、無線業務日誌の備え付け義務は、それの電子化を妨げる要因にもなります。

電波法令に限らず、どんな政策であっても、アカウンタビリティが必要です。つまり、各々の政策について、その政策がなぜ必要なのかを、政策の策定やそれを執行する担当者が、説明できなければならないのです。

米国で件の義務がないことや、包括免許制度となっている理由は、アマチュア業務というものの性格を考えると、杓子定規にプロ無線の規定をそのままアマチュア業務に適用することには、アカウンタビリティがないと解釈しているからでしょう。

日本とは別の主権国家である、米国の政策が正しいかどうかや、その政策をそのまま日本に適用することが正しいかどうかは、小生にはわかりません。しかし、この機会に一度、電波法とそれに基づく命令や政策が、アカウンタビリティを持っているかどうか、当事者同士で議論することも必要かもしれません。

投稿: JO3VVO | 2009年4月17日 (金) 19時52分

 アマチュア無線は立派な無線局ですからそれなりの責任ってありますね。電波法令集、業務日誌、アリだと思います。
 それにしても差し替え式の本格法令集お使いとは凄いです。通常この手のものを備えている機関では、差し替えも委託していて、専門の差し替え職人が来てもの凄い速度で差し替えて行きますね。何度か見たことありますがそれはそれは凄い技です。

投稿: JO1KVS | 2009年4月17日 (金) 21時04分

コメントをありがとうございます。

電波法令集の備え付け義務に関しては、その必要性はそれが制定された時に既に存在していると思います。私が思っている範囲では、先述の通り、不明点やあやしい点、争点になった部分について遅滞なく確認し、直ちに当該の通信に反映する事ができるようにするためかと思います。

「たぶんこうじゃないかしら」 で運用する事がないように、すぐ確認できるような環境を作り 「あとで確認しようと思った」「うちには本がないから来週に知り合いにでも…」 という事が無いようにするという側面が強いでしょう。あとは、漠然としていますが 「学生さんなら電子辞書くらい持ってるでしょ」 と同じように、当該職務をこなしているのであれば、例え滅多に使わなくても持っているべき、というのはあるかもしれません。

いずれにしても、電波は他の通信に容易に影響を与えるリソースですから、適切な運用ができる環境を提供するのがよいと思われます。

なお 「今はネットで確認できるから、ウェブで見れるから、PDF で保存しておけば」…→だから備え付けなくてもよい、というご意見もあるようですが、それらは本文中にあるように 「備え付けている物と見なす」 事に含む事から、備え付け義務そのものを廃止してしまう必要はないと思います。

それこそ、理想は頭の中に入っていて、第何条の何項を述べよ、と言われたらすらすらと口頭で言えるくらいが理想だと思います。全部は無理だとしても、重要な項目については言えるくらいでもいいと思います。ただ、それは必ずしも全員にするのは難しいので、それなら、暗記していう事ができなくても、少なくともすぐに参照できる環境があれば OK という風にしているのが、電波法令集備え付け義務の制度だと思います。

加除式の物はそのうちどこかが間違って変な事になるんじゃないかと思ってドキドキします。今のところ、自分で差し替えるだけで何とかなっています。専門の方の差し替え裁きというのも、一度見てみたいですね^^

投稿: JO3KPS/1 | 2009年4月21日 (火) 09時04分

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