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2009年4月23日 (木)

CW を始めましょう

ガールスカウトの子が、とうとう 「モールス」 に手を出してくれる事になりました。最近ご無沙汰している私がいうのもなんですが、モールスを始めてくれるというのは実はとても嬉しいです。別に、無線で CW で出てくれる人が増えて欲しいわけではなく、モールス送受信を会得してくれる事が嬉しい気がします。

以前、手くずれのお話などで受信について少し書きましたが、今回は 「モールス符号って何?」 という状態からスタートする、まっさらな中学 1 年生の新人さんです。そのため、まずはモールス符号を覚える事からスタートしなければいけません。

では、どうやって覚えるか、というお話になります。ここから先は、すでに CW をされている方には全く役に立たないお話になりますが、半分はこれから教える自分のメモのために書いておきます。定番の方法に自分の意見を加えた程度ですが、もっと良い方法があれば教えていただけると嬉しいです。

まず、覚え方。これはどうやっても 「音」 で覚える事です。その前に、その他の方法としてダメな覚え方、してはいけない覚え方がありますので、これをおさらいしておきます。

こんな覚え方はダメ!

ダメな覚え方は、「語呂合せ」 です。例えば、A であれば "アレー" とか。これは、覚える苦労が大して変わらない割には、後々厄介になる、というのはよく聞かれるお話です。初めてモールス符号を覚えようとする人が最初に思いつく方法として多く、お手軽そうに見えます。ガールスカウト・ボーイスカウトでも、モールスを教える時にこれで教えてしまっているところがあります。

ところが、これは頭の中で、符号を聞いて 「ポポー→なんだっけ→アレーだ→ A か」 と変換が必要になり、当然、実用通信ではそんな余裕はありません。いわゆる 「練習テープ」 の速度でしか受信できなくなりがちです。一度癖がつくとなかなか抜けないので 「とりあえず 3 級を取りたいから」 等の理由でも見ない/触れない/使わない事をおすすめします。

次にダメなのが 「文字(言葉)で覚える」 です。例えば、A であれば "トツー" とか。この方法は、意外と抵抗なく使っている人が多い気がしますし、OM さんも、CW といえば、トンツーというくらい、ツーとかトを使って文字で教える人が多いです。

これは一見、音で覚えてるような気がしますが、実際には 「トツー」 という、短点と長点を文字で覚えているに過ぎません。その為、頭の中で 「トツー」 という文字の音が出てきています。もちろん、CW でスピーカーから 「トツー」 なんていう音は出てきませんから、頭で変換しなければいけない分、ロスです。また、「ツトー」 など、トとツのどちらが長音だか、混乱する事があります(間違うと「ツトートー」 なんて言い出す事も)。

最期は、「記号」で覚える方法です。よく解説書やウェブサイトでモールスを表現するのに使われる 「・-」 等の記号です。黒い部分だけ音が出るバーコードみたいな物で、直感的に音にかえやすいので、便利に見えます。フラッシュカード(カードに記号を書き、裏に答えを格、英単語を覚えたりする時に使うアレ) や、本を使ってモールスをせっせと暗記した人にありがちです。

この記号をイメージとして覚えてしまい、それによって音を判別するようになります。この方法も、結果的には 「ポ」 が聞こえた時に頭の中で自然と 「・」 を画くようになり、「ポー」 が聞こえると、自然と 「-」 を画くようになります。そして、空白があって記号の終わりだとわかると 「・-」 の "形状" から 「A」 だと思い出す、つまり 「A は ・-」 と覚えているわけです。もちろん、これも、一度画像データにするという中間状態を踏んでいますから、高速受信にはむきません。

脱・中毒症状

これら 3 つのダメな覚え方(練習の仕方)は、一度その方法で覚えてしまうと、なかなか体から抜けなくなります。どんなにダメだと自覚しても、思い浮かべてはいけないと意識しても、ちょっとでも気を抜くとすぐ 「トツー」 と思ってしまったり 「アレー」 とか考えてしまったり 「・-」 等のイメージパターンを連想するようになります。

この中で、中毒症状が抜けないのは
 アレー(語呂合せ)<トツー(文字)<・-(記号)
です。
一方で、受信速度低下につながるのは
 ・-(記号)≦トツー(文字)<<アレー(語呂合せ)
なのです。

語呂合せは確かに厄介ですが、すぐに速度が追いつかなくなるのと、語呂合せを考えないようにするのは他のダメ手段に比べれば容易なので、中毒症状をある程度抜く事はできます。といっても、なかなか苦労してしまうのは事実。語呂合せを断ち切ろうとしても、わからない符号を語呂合せで思い出そうとしてしまうので、語呂合せで思い出そうとせず 「ポポー A」 という正解を何らかの方法で得なければなりません。

ところが、音には索引がありませんから、探しようがありません。ウェブや本では記号か文字で書かれているので、「ポポーは何?」 とではなく、トツー、または ・- にしないと表記のしようがありません。そういった物を参照してしまうとそのままパターン 2 か 3 に陥るのが関の山です。

語呂合せが出てこないようにする事はできても、わからない符号があった場合、その正解を得る方法がなかなかないのが大変です。今はPC のモールストレーナーを使えば何とかなるので、本や紙ではなく、PC ソフトを使うようにしましょう。何にしても、大幅な速度低下につながるので、最初から身につけない方が良いです。

トツーなどの文字で覚えるのは中間の中毒症状ですが、上の例を見ていただければわかるとおり、受信速度の低下要因としても、中程度です。このため、多くの無線家の方が 「それほど障害にならない」 と思ってしまい、油断して文字での覚え方を続けてしまっていたりします。

中程度の速度低下要因のため、足を引っ張ってるとはなかなか実感しづらく、中毒症状も中程度はあるので、なかなか抜けず、自分の受信能力が伸びないのはなぜかしら?なんて首をかしげていらっしゃる方や、自分の能力はこんな物だろう、と諦めてる方もいらっしゃるでしょう。結構、目に見えない罠です。なので、トツーは、忘れましょう。

一番厄介なのは、記号です。(他の悪い覚え方に比較すれば)あまり速度低下の要因にはなりませんが、何よりも中毒症状が強いです。頭の中で、音を聞き取る部分と、何だったかしら、と考える部分と、イメージを思い浮かべる部分は比較的パラレルで動きやすいため、音を聞くと同時に記号が頭にぽややんと浮かんできてしまいます。

語呂合せなんかは思い出さないように、考えないようにすれば、ちょっとがんばると何とかなったりしますが、記号は消そうとしても厄介で、自然と頭に浮かんできてしまいます。頭に浮かんでこないようにするには、他の景色を見たり、わざと混同するような模様を見たりして結構な集中力で克服しないとならなくなります。

なので、最初から音を聞いて覚えようとする人も、手元に 「・- A」 等と書かれたリストを持って見ながら覚えようとしてしまうと、知らないうちに 「・-」 が頭にすり込まれてしまいます。低速のうちやアマチュア無線の国試の中では、オーバーヘッドが気にならないために問題なく感じてしまったりしますが、将来、苦労しそうです。

これからモールス符号を覚える人は、語呂合せや文字(トツーなど)は勿論ですが、この 「記号」 も絶対に頭に思い浮かべないようにしてモールス符号を覚えるようにしましょう。音は、音として、犬の声を聞いたら、犬が思い浮かぶように、低いクラクションではバスを思い出し、高いクラクションでは乗用車を思い浮かべるように、音を音として聞いたら 「これは A」 と出てくるようにしたいです。

受信練習速度

速度についてです。練習用の CD なんかが CQ 出版や有志の同人 CD、はたまたパソコンのソフトや WAVE ファイルなんかで存在しますが、個人的には、その中の 「入門編」 的な、低速なもの(25~40cpm程度)は、おすすめしません。ゆっくりとモールスの音が流れ、「エー」 等と繰り返される物があり、覚えるのに都合が良さそうですが個人的には 「楽をしたいなら」 やめた方がいいと思います。

私のお薦めは、最初から 70文字程度の速度で勉強する事です。「え? それってモールスを覚えた人の話じゃなくて?」 と言われるかも知れませんが、そうではなく、モールスをこれから覚える人も同じです。最初から、ある程度の速度で受信される事をおすすめします。

そうすると 「無理。そんな早いの、わかるわけないじゃん」 と思われるかもしれません。確かに、70cpm でいきなり送信されても、全然とれない速度でしょう。でも、符号を覚える時に、ばらばらとまとめて送るのを聞く事はありませんよね。A なら 「・- ・- ・-」 という感じで、何度も同じ符号を聞いたりすることでしょう。この時、普通の間隔で送られたら、覚える物も覚えにくいでしょうから 「・-」 と、2回目の 「・-」 の間隔を、かなり長めに取ればいいだけのお話です。

文字にすると 「・-  (3秒程度の空白)     ・-    (3秒程度の空白)    ・-」 みたいな感じです。ここで打たれる(初めての人にとっては)早い 「・-」 を、既にこの時点で音のワンセットとして覚えてしまえばいいのです。間隔が充分に開いていれば、70cpm どころか 100cpm でも聞きわけられると思います。

速度が速くてついていけない事の要因は、ひとえに頭がデコードしきれないからであり、実は符号そのものは聞こえているのです。符号は聞こえても、デコードに時間がかかる。その時間がかかっているうちに、次の符号が来るから、どんどん取りこぼすのが、高速受信の失敗崩壊のスタート部です。符号そのものが早くてとれない、なんていう事は、200cpm くらいになるまで、まずい、ないでしょう。

そのため、間隔を開ける事により、送られてきた符号をデコードして 「なんだっけ」 と考える充分な時間があります。面白いもので、早い符号を送られると、心理的に 「アレー」 なんて思い出そうとする人も少なく、「トツー」 と置き換える事も少なく、また、多少ですが、文字を記号で思い出そうとする確率も減ります。つまり、ゆっくりとした受信練習こそが、余計な覚え方を助長してしまうとも言えます。早く一瞬で流れ去る一文字のモールス符号であれば、音として頭(耳)に残して覚えやすくなります。

あとは、個人的な感想ですが、25cpm あたりの超低速な練習モールスと、100cpm 程度の平均的なアマチュア無線のモールスの速度では、もはや 「符号として別物」 だと思います。実際、私が 25cpm くらいのモールスを送られても、それこそ頭の中で、4倍速再生して初めて A などの文字が出てくるような受信になります。中には 「そんな符号あったっけ?」 なんて思ってしまう事すらあります。

なので、25cpm 等の低速で符号を覚えようとはせず、最初からある程度の速度で耳を慣らすようにした方が良いです。モールスのコツは、リズム感だと思っています。上手に取れるようになったら、間隔を徐々に縮めていき、最終的には、規格通りの間隔になるまで縮め、70cpm なら 70cpm でしっかり取れるようにします。それができたら、次に速度自体をあげるようにします。

セット化して覚えよう

次に、覚え方のセット。A から順番に覚えていってもいいですが、個人的には、簡単な物から覚えていった方が良いです。簡単というのは、符号が複雑ではなく、聞き取りやすい、モールス信号というのに耳を慣らすのに適した物から順に、というものです。

簡単な順に並べ、それを、それぞれ 5 文字程度ずつに区切ります。そして、その 5 文字を全部言えるようになったら次のセットに進みます。苦手な文字があったら、その文字の音だけを繰り返す物を作り 「・- エー  ・- エー」 のように繰り返すと良いかもしれません。ただ、覚えたと思っても、他の文字と並べて次に来るとど忘れするのはよくある事なので、一つの文字の繰り返し練習は最低限にし、基本的には、5文字セットの中でその苦手文字を覚えるようにしましょう。

1セット覚えたら、次のセットに進みます。この時、前のセットの苦手な文字があれば、一応覚えたつもりであっても、この 2 セット目に混ぜます。文字数が一文字増えますが、これはそのまま 6文字 1セットとして覚えてもいいですし、難しそうなら、前回のセットで自信がなかったも時以外の末尾の一文字を次のセットに回して、「苦手1文字+新規4文字」 の 5 文字セットにして、覚えます。

以降もその繰り返しで、苦手だった文字が次のセットに進む時にはクリアされているようであればその時点でお別れし、未だに苦手なら、さらに次のセットにも持ち越します。もちろん、今のセットで苦手な文字があれば、それも、持ち越しにします。文字数が一定で覚えるなら、合計 2 文字持ち越したら次のセットの新規 2 文字が追い出されます。

そうしていくと、セットが進んでも苦手な文字は覚えるまで何度もする事になり、そのうち覚えるでしょう。もちろん、たまには最初のセットに戻って、前の符号を忘れていないかチェックする事も大切ですし、そこで苦手な文字がまた出てくれば、飛び越して今のセットに混ぜて覚えるのもいいでしょう。あまりダメだと、そのうち新規の文字が無く、苦手な文字だけの集大成のセットができあがるかもしれませんw

なお、先述の 「同じ文字だけ繰り返して聞いて覚えるのは最低限にする」 の原則を忘れずにいましょう。苦手だった文字だけをあまり長く聞く事に意味はありません。5分ほど、一回聞けばもう充分です。他の文字と組み合わせ、他のモールス符号の音が頭の中を流れている中に、ふと苦手文字が出てくる状態が必要で、そうでないと、いつまで経っても受信できません。

数字や記号は、最期にしますが、同様な方法でやります。

私の組み合わせは

  • セット 1: E T A R
  • セット 2: S L U Q J
  • セット 3: H O N C V
  • セット 4: I B Y P
  • セット 5: W K Z M
  • セット 6: D X F G

という感じです。セットの中でも、簡単な順に文字を並べてあるので、アルファベット順ではありません。また、簡単な順に進む事には意味があるので、勝手に "A E R T" などアルファベット順に並び替えてはいけません。記号の長短や、その変化に意味があるのです。苦手な文字を繰り越す時は、最初に入れるようにしましょう。

なるべく順序を壊さない方が良いため、前のセットでわからないものがあって次に繰り越す事を考え、5 文字ではなく 4 文字にしています。一回 6 文字以上になってくると、わからない文字が増え、その文字がわかったと思ったら次の文字が…という堂堂巡になる確率が増えるので、4~5文字に抑え 「もうその記号覚えたから出さなくて良いのに」 と思うほど、くどくお勉強する事が大切です。くどいくらいにやらないと、忘れます。

これを、セットごとに MP3 かなにかにして、ウォークマンに入れて聞くといいと思います。参考までに、とりあえず作ってみた MP3 ファイルを置いておきます。自分で作る場合は、繰り越しができるので、自作される事をおすすめします。1セット目を覚えたら、苦手文字を入れた次のセットを作るといいでしょう。

そういう環境や PC スキルがない方は、とりあえずこの基本セットを使い、苦手文字を覚えるまで次のステップに進まない、というやり方をするといいと思います。進みは遅れると思いますが、あやふやな状態手間に進むのはいけません。確実に覚えないと意味がないので、他の 3 文字が耳にタコができる状態であっても、せっかくなので耳にさらに焼き付け苦手文字を覚えるまで頑張るようにしましょう。

「絶対に忘れない」「間違いなく覚えた」 と言えるまで先に進まない慎重さが、コツです。そのためには、あやしいと思った符号は、躊躇なく 「継続」 扱いにして、次のセットに引き継ぎましょう。

なお、繰り越し続けた結果、5 文字全部苦手な文字ばかりが集まってしまったり、意図的に苦手な文字だけを集めて覚えよう/練習しようと思うこともあるかも知れません。確かに、それはダメではないのですが、数分程度、数回行うだけにした方がよいです。

集中特訓は覚えたような気がしたりしますが、苦手な文字だけで並べた場合と、あとあと他の文字と混ぜた場合では、かなり状況が違ってきます。わかる文字が続いたあとに、苦手文字がやってきたりするので、油断していて苦手文字が取れない、なんていうこともあります。

例えば、E とか A などが続いて 「うん、わかるわかる」 なんて気を緩めていたら、苦手文字が登場して 「あれ!?」 なんて焦ることがあったりするわけです。苦手文字の後の苦手文字なら、気合いが入っているので取れるのに・・・なんていうこともあります。そういった心の変化も含めて練習する必要があるので、苦手文字だけで固めるのではなく、なるべく、他のだいたい覚えたかもしれない文字や新規の文字とシャッフルして克服するようにした方がいいです。

つづくかも

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コメント

熱い思いが感じられます。
音から直変換、大切ですね。
1文字ずつ聞いて変換するより、数文字セットというのは大変良いですね。
聞き取れるとお菓子がもらえるとか、お金がもらえるとか、そんな仕組みにしたら子供たちはあっと言う間に覚えるでしょうね。
何しろお小遣いで何が買えるか判断するのに、掛け算のことは理解していなくても、消費税の計算は覚えてしまうのですから、欲にからめるとあっと言う間です。(笑)

投稿: JO1KVS | 2009年4月28日 (火) 23時10分

> JO1KVS さま

いわゆる 「悪いクセ」 がつくと、CW に限らず体で覚える物は、なかなか抜けないものです。CW は耳と頭という感じがしますが、直感で答えないといけない分、体で覚える感じがします。その為、暗記してそれを答えればいい物と違って、悪い癖がついて語呂合せや文字、記号で覚えてしまうと、ついそれが頭に出てきてしまうのは結構面倒です。

覚え方はそれぞれだとは思いますが、悪い癖をつけてしまうと、それが後々悪い影響を与えがちです。我流の方が最初は楽だったり、上達が早い事もありますが、最終的には後々ベテランやスタンダードの領域に達する時に苦労をする事になると思います。

投稿: JO3KPS/1 | 2009年5月11日 (月) 11時01分

なんか、ソロバン覚えるより計算ドリルを
というような話にも聞こえますね。
算盤とか電卓とか、操作が必要な内は、余計なアクションを挟む我流は不利だと思います。
ただ、私には想像もつかないんですが、珠算の出来る人に聞くとソロバンのタマを頭に描いた方が速いなんて言って、
事実、電卓叩くより先に正確な結果が出てくるので、頭の中で完結する分には、余計な過程を挟むから遅いとは一概には言えない気もします。
まあそれも本人の感覚とは別に、脳には一種の直接的回路が出来上がってるのかもしれませんね。

投稿: | 2009年10月11日 (日) 06時25分

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