« 私が選ぶ今年の10大ニュース (今日のテーマ) | トップページ | ニューイヤーパーティ2009 »

2009年1月 2日 (金)

上級資格にチャレンジ?

お世話になっているアマチュア無線関係の SNS でも受験宣言をなさっていた方もいましたし、一般的にも資格試験の時期でしたから書くのを控えていましたが、アマチュア無線の上位資格について触れてみようと思います。

ご存知の通り、アマチュア無線は 4 級から 1 級まで全 4 段階あります。それぞれの違いは、操作範囲、つまり使用できる周波数と使用できる電力、電波形式が異なってきます。4 級でも HF に出られますから上位資格を取らないと国際通信ができないというわけでもありませんが、国際通信をするには電信ができないといけないというのを昔お勉強したような気がするのでいまいちこの辺はなぜなのか自信がありません(^^;

それはともかく、4 級からアマチュア無線に入った方も多いのではないでしょうか。特に友人やご家族から「誘われた」場合には、難しそうな試験に対する警戒心を減らすためにもまずは 「簡単だよ」 といわれている 4 級から挑戦する、というプロセスも多いと思います。かくいう私も、最初は電話級(4級)でした。

4級でも 430MHz で FM はもちろん SSB やパケット、D-STAR もできますし、2m で位置情報のアナログにも参加できますし、HF にも出られます。裏を返せば、できないことの方が少なかったりします。CW ができない、一部の HF 周波数に出れないという点が違います。また、ハンディ以外で運用する場合には、送信出力が 10~20W に限られるという点もあると思います。ただし、送信出力に関しては「できるできない」の差ではないので、一般的には特筆するほどの有意差とは言えない場合もあるようです。

さて、4級を取ったあとは…アマチュア無線を楽しめばいいわけですが、ここで一つ気になることが出てくる方もいると思います。「上級資格ってどうなのかしら」 という事です。上級資格とは、つまり、3級、2級、1級です。これらに興味が出てくる人も多いと思います。

ところで、これらの資格を取る必要は、あるのでしょうか? もちろん、それぞれの資格がないとできないことをやりたいという動機があれば、取る必要があるのはいうまでもありません。その手間暇と、やりたいことの「やりたい度」を天秤にかけて、やりたい度が高ければ勉強して受験し、資格を取得するのも良いと思います。

一方で、ちょっと変わった 「勘違い」 の文化を耳にすることがあります。それは 「4 級で甘えちゃダメ。なるべく早く上級資格を取らないといけない」 という意見を言う人がちらほらいるらしい、という事です。これはびっくりです。もちろん 「500W の出力で海外と 14MHz で CW をやりたい」 なんていう目標があったものの、無線が当初は全くわからないので仕方なく、まずは慣れるためにも 4 級を取得して実体験で無線のことを知って、それから勉強を進めて 1 級を取ろう、なんていう場合には、確かにお勉強を進めて上級資格という最終目標を達成するのはよいことだと思います。

けれど…特にそういうバックグラウンドがない限り、必要でしょうか。4 級で始めたものの、CW に興味がでてきて 3 級を取ったり、色々な周波数に出てみて他の周波数にも出たいと思って 2 級を取ったり、1kW の運用がしたくなって 1 級を取ったり自発的にするのはいいと思います。けれど 「取るべき」 的な意見にはちょっと首をかしげてしまいます。

アマチュア無線のライセンスは、弓道や柔道の 「段」 ではありません。国家試験による国家資格です。自分が必要とする操作の含まれる資格を取れば充分です。もちろん、アマチュアは進歩的であること、とか、色々な物に挑戦して自分を高めていくべき、という信念はあると思いますが、それは、イコール、資格の上昇ではないと思います。上位資格を取らなくてもできる技術の向上や進歩はいくらでもあります。

上級資格になれば、試験は難しくなり、知識もノウハウも技術も問われるようになるでしょう。従って、上級資格保持者はそれらを兼ね備えていると国家資格として証明されていることになります(実態は別として(^^;)。でも、4 級でも操作範囲的に不要だから上位資格を取得していないけれど、知識的には 1 級をとれるくらいの知識がある方もいっぱいいらっしゃると思います。私に知り合いでも、無線通信機器の設計や試験をしていた人がいますが、4 アマでした。

たとえば、アマチュア無線の楽しみは自作にあり、と思っている方がいて、しかもその方が 「QRP こそ楽しみ」 と思っているなら、出力も特別な周波数も必要ありません。もちろん工作をしているうちに自分の操作範囲から逸脱する周波数の無線機を自作したくなったら取得する必要が出てくるでしょうが、そうでなければ、例え日中無線業界のプロとしてお仕事なさっている方でも 4 級で充分なのです。ましてや 「マイクロウェーブこそ楽しみ」 と思ってるのであれば、上級資格を取ることは何のメリットもありません。

上位資格が必要となるのは、自分が楽しんでいる分野で 「周波数」「電波形式」「送信出力」 が足りなくなった場合「だけ」です。例えば、3 級を持っていて 430MHz で山の上に移動して遠距離通信をすることを楽しみにしている方の場合、2 級や1 級を取ったところで何のメリットもありません。私から見れば、もし取得したら 「何で取ったの?」 と言いたくなるほどです。言い過ぎを承知であえて極端に書くと「時間とお金の無駄」です(もちろん、趣味として取得することを否定するわけではありません)。

なんとなく上級資格を取らないといけないといった感じの事を言う人が周りにいたり、自分自身がそういうイメージを持っているとしたら、私の価値観では、それらは間違いだと思います。自分の裾野を広げ、出力や操作範囲を広げるべきという考えは否定するわけではありませんが、出力や操作範囲だけが広げる裾野とは限りません。それどころか、1 級を持っているのに 430MHz で FM ハンディでラグチューしかしてない人と、4級だけど D-STAR の DV アダプタを自作したり、毎週末通信実験をしたりしてる人と、どちらが進歩的なアマチュアでしょうか。

転じて、さらにひどい人になると 「1アマはエライ、4アマは悪い」 なんていう変な階級制を(勝手に)作る人もいるようです。先ほども書きましたがアマチュア無線の資格は柔道や弓道の段ではありません。立場としては上も下もありません。上位資格では操作範囲などが広がり、その分試験は難しくなりますが、それはそれだけ高度なことをしようとしているのであれば、法制度上求められるのですから仕方ありません。

つまり、結果として 「何かスゴい人」 であればそれは出てくるわけです。資格が一アマだからすごいのではなく、1kW の高出力の無線局をインターフェアなどの問題を起こさず運用し、世界中の国全ての局と交信実績がある…等といった「実績」 がすごいのです。資格は単に 「それをするためのステップ」 でしかなく、裏を返せば、資格だけ持っていても何の意味もありません。

取るだけ取って何もしないのであれば意味がありません。むしろ意地悪を言うなら 「1 アマを持ってるのに何で 1kW 開局しないの?」 という事になります。「4アマしか取ってないのは1アマがとれないからでしょ」 という意地悪を言う方には 「1kW を免許されないのは、免許して貰いたくてもできないからでしょ」 と言えてしまいます。勿論どちらも "愚問" です。結局、どちらも 「必要ないからしていない」 だけである事に気がつかないといけません。

こういう論調の方は、たいていの場合 「4 アマしかとれないから 4 アマなんだ」 という思想を持っている場合が多いようです。つまり 「1 アマがとれるなら 1 アマを取っているはず」 という風に考え、資格とは何かを勘違いしているわけです。それでは、その方が普通自動車免許 1 種しか持っていなかったら 「2 種免許を取る能力のないへっぽこドライバー」「大型免許の取れないヘタッピ」 なのでしょうか。

ましてや上下関係があるなら、一種ドライバーは二種ドライバーに道でも譲るのでしょうかw  そういった発想があるから、その手の方の 1 アマを取った理由は 「カッコワルイから」「他人に自慢するため」「見栄」 だったりします。こういう時代錯誤的な上から目線大好きな方が多ければ、それは、若い人が離れてしまうのも無理はありません。機会があれば書きますが、アマチュア無線を始めた物のやめてしまう人が多いのは、先輩である私たちに原因がある場合も結構多いようです。

それこそ、4アマで充分楽しんでいたのに、いつの日か 「4アマじゃカッコワルイ」 なんていう間違った価値観に犯されてしまったら、何かの時に資格の話が出る度に肩身の狭い思いをしてしまい、不快でアマチュア無線自体をやめてしまうかもしれません。「そう思ったら上位資格を取れ」 なんて言い出す方もいるでしょうが、そもそも資格はそういう根拠で取るものではありません。恥ずかしい勘違いです。

人には、それぞれの楽しみ方と限られたリソースがあります。そういう物を理解できないのであれば、例えアマチュア無線 1 級でも、大人の人間のとしての資格は「欠格事由有りにつき免許発給できません」 と言われても仕方ありません。

もちろん、4級の操作範囲で楽しんでいる人に、さらに 「未知の領域」 を 「紹介」 してあげることは悪いことではありません。例えば、電信は結構面白いよ、とか、海外と交信するのも面白いから、このバンドに出られるようになると世界が広がるよ、とか、ある程度出力が出ると…などなど、体験したことがないが故に知らないと思われる楽しみを紹介してあげるのは、先輩としての導きとしてよいことだと思います。

これは 「APRS 面白いよ、はじめてみなよ~」 と言ってるのと全く同じ事。でも、APRS を始めるには GPS ユニットや VX-8 などの無線機を買わないといけません。それと同じで、CW を始めたければ、まずは 3 アマを取らないといけません。APRS に興味を持って始めたいと思ったらお金を貯めて VX-8 なんかを買うのと同様、CW に興味を持って始めたいと思ったら、勉強して 3 級の資格を取得しないといけないだけです。

でもその場合は当然、その紹介された楽しみに共感を覚えて挑戦してみようと思うから試験を受けるわけです。まず資格ありきではなく、その楽しみに資格が必要だから取るだけのお話。それこそ、アマチュア無線の資格自体、何級であろうとアマチュア無線という物そのものに興味を持ったから、それに必要となる 「アマチュア無線技士」 の資格を取得したのであって、アマチュア無線には何の魅力も感じないのに、アマチュア無線技士という資格を取ることそのものを目的にしてアマチュア無線の資格を取った人は滅多にいないでしょう。

従って、上位資格を取らないとダメですか? 取った方が良いですか? と疑問に思っている方や、取らないとカッコワルイ、恥ずかしいなんて思ってる人がいるとしたら、答えは明白。「必要であれば」取得すればいいと思います。へんな理由で取得しても、資格が泣くだけです。私なら、そんな変な理由で取得したら、自分自身がとても小さな人間に見え、とても恥ずかしく思います。

もちろん、取るのは自由です。先述のような強迫観念や押しつけられた見栄にとらわれて興味がないのに 「カッコワルイから」「上の資格をとるべきだから」 と勘違いしイヤイヤ取るようなのではない限り、操作範囲が必要とされていなくても勉強して受験、資格取得をするのはそれはそれで一つの楽しみです。そういう、一種のゲーム的な楽しみ方もあると思います。

正当なお金を払って受験して合格して取得する資格ですから、例えその資格の操作範囲に縁がなくても問題はありません。私の知り合いでも、航空機の操縦ライセンスすら持っていないのに航空特殊無線技士の資格や、業務で無線をすることはないのに、陸上特殊無線技士の資格を持っている人、はたまた、全ての資格の免許証を集め、無線からはみ出て電気通信の資格まであれこれ取ってる人もいます。それはそういう楽しみ方。立派な趣味で、良いことだと思います。

でも、おわかりの通り、これは自発的に取っているだけのお話。上位資格を取らないといけないというような強迫観念で仕方なく見栄を張るために取った物とは違います。もちろん、自己満足は大いに結構です。けれど、上位資格を取らない他人を見下したり、取るべきだという意見を出し、他人に外圧を加えるようではダメです。

お仕事では、操作範囲が増えればお給料が上がる会社もあると思いますが、アマチュア無線はあくまで趣味。個人個人が自分の価値観と自分の判断で自分に必要とされる資格を必要とされる時期に自由に取ればいいだけのお話。必要ない資格は取る必要ありませんし、資格にエライ/偉くないはありません。そういったことが理解できず、ライセンスの上下を他人にあれこれ言うようでは、アマチュア無線技士としての「資格」はあっても「素質」はないと思います。

自分らしい楽しみ方をし、必要であれば、必要な資格を取りましょう。今の資格で楽しければ、飽きて必要性を感じるまで、今の資格で楽しめばいいのです。いつの日か飽きて上位資格の操作範囲に興味が出たら、上位資格の受験を考えても良いかもしれません。もちろん、今の操作範囲の中で飽きずに一生楽しめれば、それに越したことはないでしょう。

勘違いせず、正しい OM さんに出会えることが、大切ね、と思いました。

|

« 私が選ぶ今年の10大ニュース (今日のテーマ) | トップページ | ニューイヤーパーティ2009 »

アマチュア無線」カテゴリの記事

コメント

 法にも書いてあるとおり、この世界は自己訓練の世界なので、押し付けることなく自己で完結しているのがいいですね。楽しみを紹介するのはアリです。
 ある国の制度では、日本で言う4級相当の資格でも、V,UHFならCWオーケーのところがあります。これってなかなかいいと思います。CWは経験で面白みがわかったり、上達する要素が多いので、やっていいよ~ってなっているところがステキです。
 CWが出来ないとHFに出られない、という理由は、国際的なアマチュア無線の資格レベルが、設計も製作も修理、調整も自力で対応出来、通信技術も習得しているレベルが求められていたからのようです。国際通信が容易なHFではそれが求められました。技術的には1、2級、通信技術はそこそこの速さのCWが基準になっていたのでしょう。アマチュア無線創成期は、自作、自力、そしてキャリアのオンオフだけのCWが基本でしたからそれが基準になっているんでしょうね。声を電波に乗せるほうが技術レベルも高く、帯域も取って資源の占有率が高いので、言ってみれば基本がCW、しゃべるなんて十年早い、って感じでしょうか。(私見です)
 資格に関しては、実績を加味するのは面白いかな、と思います。世の中の資格は、○○の経験が○年以上、という条件が結構あります。QSLカード1000枚集めないと3アマになれない、とか、集めれば3アマとか。SSBで100交信しないとFMに出れないとか。アワードみたいですね。冗談ですけど。

投稿: JO1KVS | 2009年1月10日 (土) 09時32分

そういえば、日本のアマチュア無線の資格はいきなり1アマがOKなので、アマチュア無線のアの字も知らない人も、いきなり最上級資格を取得できますよね~。

時代とともに、求められる物も変化してきてると思うので、かこに固執することなく、現在何が求められているかで、資格試験の内容も変えていく方が良いと思っています。そういうみで、CW は好きですが、試験としての CW 廃止には、異議を持っていません。

CW はアマチュアだけでも受け継いでいきたい伝統ですけど、それと最上級資格を取ることとはリンクしてないと思っています。

私の職場では、CW打てる人が結構います。お歳を召された方は、かなりの速さで打てます。上位組織が同業者の日本の知り合いは、和文でこれまた素敵な速さで打てます。和文は私はまるでダメです。

投稿: JO3KPS/1 | 2009年1月21日 (水) 09時55分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 上級資格にチャレンジ?:

« 私が選ぶ今年の10大ニュース (今日のテーマ) | トップページ | ニューイヤーパーティ2009 »